注文住宅を設計するのは、ハウスメーカーや設計事務所、工務店などが行うことになります。

そのいずれも、設計の流れはほぼ同様です。

まず、施主が土地を購入します。

施主が土地を購入した時点で、土地の測量が行われます。

測量データが作成されたところで、設計者は施主と打合せを開始することになります。

施主と打合せをする前に設計者がしなければならないことは、現地調査と役所調査です。

まず、現地調査で敷地が道路と接道しているか否か、接道している前面道路の状況や幅員、敷地の高低差、電線の位置、マンホールの位置、隣地の状況などをチェックします。

そして、役所で調査をします。

調査する内容としては、主に、敷地の用途地域、前面道路の種別や幅員、防火区域の確認、高度地区の確認、景観条例の確認などです。

これらの調査結果を基に、施主と打合せを行うことになります。

施主との最初の打合せでは、まず、施主からの要望をヒアリングし、間取りを作成しエスキースを作成します。

これは計画図と呼ばれるもので、設計図書の最初期の段階の図面です。

平面の計画図を、敷地の建蔽率や容積率、高さ制限などをもとに作成していき完成させます。

平面の計画では、施主の要望を図面に反映させつつ、いかに建蔽率と容積率、高さ制限の限界まで面積を確保できるかが焦点となってきます。

これ以上面積を増やすことが出来ないという限界の状態まで計画図を煮詰めることが出来ましたら、施主に計画図を見せて確認を取ります。

そして、計画図が了承してもらえたら、次に基本設計へと移っていきます。

基本設計から施主との打ち合わせ回数は大幅に増えることになります。

その理由は、基本設計の段階で、ほぼ完成形に近いプランを作成する必要がある為です。

施主と打ち合わせていきながら、計画図を基本設計図へと描きかえていきます。

沖縄の住宅建築設計会社
出典:http://yu-topia-sk.com/

計画図は壁などは単線で表現することが多いですが、基本設計の段階になりますと、壁厚が表現されるようになります。

基本設計図を作成しながら施主と打合せをして、少しずつ間取りを変更していくという作業の繰り返しをしていき、基本設計図を完成させていきます。

基本設計図が完成に近づいていくと、施主との打ち合わせではプランニングから仕上げ材などのより詳細な部分の打合せが行われます。

そして、設計作業としては、基本設計図が完成に近くなりますと、確認申請のための準備に取り掛かることになります。

確認申請書類を役所もしくは建築審査機関に提出し、済証を発行してもらわなければ、工事を着工させることが出来ないのです。

ですから、確認申請は遅れることが許されない非常に重要な申請となります。

この確認申請をスムーズに完了させるには、審査機関の間に修正が少ない方が有利です。

図面の修正を行いますと、審査機関が延長されることとなり、当然のことながら工事の着工も遅れることとなります。

そうならない為にも、基本設計の段階でプランニングを確定させておく必要があるのです。

確認申請の審査を受けている間に、実施設計を行います。

実施設計は、基本設計よりもより詳細に図面を作成します。

仕上げ材の厚みを表現したり、部分詳細図や外構図などを作成します。

計画図はプランを大まかに決めるための図面で、基本設計図はプランを確定し確認申請で審査を受ける為の図面で、実施設計図は施工をするための図面です。

それぞれの図面に役割があるということです。

実施設計図面を作成する段階では、プランはほぼ確定し、仕上げ材について施主と打合せをして決定していきます。

そして、実施設計図面の作成の完了と確認申請の済証の交付が同時期であれば理想的です。

確認申請済証の交付と共に、直ちに工事着工をすることが出来ます。

工事を着工するにあたり、ハウスメーカーや工務店は自社で施工を行うケースが多いですが、設計事務所の場合は施工業者を選定する必要があります。

一般的には複数の施工業者から見積もりを取り、業者を決定するケースが多いです。

工事が始まりますと、そこで設計は終了というわけではなく、実際に施工してみて納まりが悪い部分などが判明していきます。

納まりが悪い部分については、綺麗に納まるように修正が必要となります。

施主と打合せをして、施主からの了解を得て、部分的に納まりを変更していきます。

そして、その変更箇所を図面に反映させていくのです。

工事が行われている間、その作業が繰り返し行われます。

設計に関してベテランであっても、工事で実際に納まらない箇所というものは必ず出てきます。

そして工事が竣工しますと、完成図を作成し、施主に渡します。

場合によっては模型をプレゼントする時もあります。

このような流れで注文住宅の設計は行われます。

設計は施主と打合せを始めてから工事が終わるまで、行われると考えておいて良いでしょう。

完成図の作成が完了し、施主に渡した時が設計の完了ということになります。

最終更新日 2025年5月20日 by packet