アドボカシーとは指示や表明、代弁や唱道などの意味を持つ言葉で、政治的な政策を変えたり社会的なシステムに影響を与える事を目的とした物を意味しています。
これらのような制度を変える運動は、個人およびグループで行われますが、それらの動きをアドボカシー活動と言います。
トピックは現場や方法など多種多様になっていますが、基本的に問題や課題についてそれぞれがしっかりと知り、原因について声を上げて解決に向けて社会を変えていくという目的です。

 

専門型アドボカシー

アドボカシーの形態は様々なアプローチが存在していますが、代表的な物を挙げてみるとまず専門型アドボカシーがあります。
これは専門家およびその道のエキスパートとなる人物が、それぞれの立場において問題意識を提示する物です。
これによって政策への影響を与える事になりますが、政策提言もこれに含まれるでしょう。

 

予算型アドボカシー

そして予算型アドボカシーと呼ばれる物は、行政の予算に市民団体が進んで関わりながら、説明責任や透明性などを促進します。
加えて一般の方々の要望や必要性、地域社会の公平性を行政側に注意を払うように要望する物です。
また大規模な団体やグループが行う様々な行動やデモなどを指す大衆型アドボカシーや、マスメディアを戦略的利用して社会的な影響を目的とするメディア型アドボカシーなどが存在しています。
日本におけるアドボカシーは大きく分けて2つの種類があり、権利擁護としてのトピックと政策提言としてのトピックがあります。
権利擁護の部分では具体的に挙げると、マイノリティーや社会的弱者などの権利擁護や、社会環境の性差撤廃などが挙げられるのが特徴です。

 

政策提言としてのアドボカシー

そして一方の政策提言としてのアドボカシーは、ある特定の課題や問題に対して政治的な提言を実施する事を指しています。
日本においても雇用の差別撤廃や保険医療の問題をはじめとして、公共事業問題などの幅広い分野で政策提言のアドボカシー活動が実行されています。
またアメリカにおいてはアドボカシー活動が非常に盛んとなっており、ロビー活動によって政治家に直接伝えるような取り組みも行われているのが特徴です。
このロビー活動とは政治を直接的に動かすような実践的な動きで、議会のロビーに市民の代表者が行き、自分たちの意見が反映されるように訴えかける物です。
直接会って働きかける事の他にも、電話やメールを通じて行なったり、新聞に意見広告を出して政治に対して提言する事もロビー活動に含まれます。

 

世界の貧困層の子供達を救うためのアドボカシー

このようにアメリカや日本でも世界中で広く行われているアドボカシー活動ですが、その中でも代表的な物がユニセフなどによる世界の貧困層の子供達を救うためのアドボカシーではないでしょうか。
(参考:ユニセフと日本ユニセフ協会の違い

世界中には国の経済状況であったり、治安の問題などの関係で満足に生活できない子供たちが多く存在しています。
各団体などで基金を募ったり救援活動も最大限行なっていますが、政治的な部分の変化は必須とされています。
その中で有効となるのがアドボカシーの活動で、様々な子供の権利を守るための取り組みとなっているのが特徴です。
例えば教育の充実であったり栄養や衛生面の充実も、独自の団体がサポートしているだけでは限界もあるのが事実です。
こうした問題は一人ひとりの協力によって成り立ってはいますが、運動によって政府に働きかける事も重要なポイントとなっています。
様々なアプローチによる提言をしていき、子供達をはじめとして社会的にもさらに改善していく事に取り組む事が必要です。
これらのアドボカシーは団体による活動で、マスメディアでのキャンペーンやインターネットを活用したプロモーションなど、色々な形態で目にする事もありますが、それぞれの内容が社会的や政治的なシステムの改善を目指す事を目的とした物という共通点があります。

 

日本において見られるアドボカシーの1例

そして日本において見られるアドボカシーの1例では、高齢者や障害者の権利擁護という取り組みが挙げられます。
自分の権利を主張する事が難しいとされる高齢者や障害者の代わりとなって、代理人がその権利や意見を表明する事もアドボカシー活動の1つです。
寝たきりの状態であったり認知症がある高齢者の方は、権利の行使が困難となるケースも見受けられます。
また障害者の方においても同様の部分がありますので、社会的弱者の権利を守る事が大事です。
これらの問題をアドボカシーによって改善していき、子供や高齢者でも安心して暮らせる社会づくりに役立てるという取り組みとなっています。

 

まとめ

このようなアドボカシーは個人で活動を行う事もありますが、個人の権利を守る物をケースアドボカシーと言います。
一方で特定の対象者ではなく、地域社会の全体を改善する目的とする活動はクラスアドボカシーと呼ぶのが特徴です。
団体的に声を上げる物では、患者会やNPO法人などという組織的な活動としてアドボカシーを行う事もあります。
このように擁護や代弁をはじめとして、意見表明などが代表的なアドボカシー活動となっています。
 

最終更新日 2025年5月20日 by packet